新楽器「チェレスタ」で気分アゲアゲ
新楽器「チェレスタ」で気分アゲアゲ
【ご注意】このブログはVIDEO-GOISのスタッフに向けて、クラシック音楽に親しんでもらい、作品のスキルアップを目指してもらうことを目的として開始されました。そのストックを公開しているもので、表現や内容、考え方について専門的なものではございませんのであらかじめご了承ください。
チャイコフスキーはこのバレエ「くるみ割り人形」の作曲には気乗りしなかったと書きました。事実忙しいのもあって、着手したのは翌年からなんです。
この頃のチャイコフスキーはちょっと気分が下がっていたみたいなんだよね。その理由は、以前書いたけどチャイコフスキーのパトロンであったメック夫人からの財政的援助の打ち切りもあったんだ。
でも、チャイコフスキーはドイツのオーケストラであるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者でもあったため、ヨーロッパ各地を演奏旅行で回っていたらしいんだ。そんな演奏旅行の途中でフランスパリに立ち寄った時、5年前に発明されたばかりの楽器「チェレスタ」の音色を聞くことになります。
チェレスタとはピアノと同じ鍵盤楽器の分類で、形としては小型のアップライトピアノみたいな感じです。
ピアノと違うのは、音を出す部分が弦ではなくて、鉄板であることで、フェルトを巻いたハンマーがこの鉄板を叩いて音を出しています。
簡単にいうとグロッケンが箱の中に収まっていて、鍵盤を押すとハンマーが動いて鉄板を叩き音が出るという感じ。グロッケンと違うのは、指で鍵盤を押すので多彩な音を出せることと、グロッケンよりも音が柔らかいことかな?
さて、パリでこのチェレスタの音色と出会ったチャイコフスキーは、絶対この楽器をオーケストラで使いたいと考えます。しかも誰よりも先に!
でも、彼はこの後の話に出てきますが、アメリカに行かなくてはならず、すぐに作曲ができる環境ではありませんでした。そこでチャイコフスキーは、ロシアにいる友人に「この楽器のことを俺がアメリカから帰るまで皆には内緒にしておいてくれ!特にリムスキー=コルサコフには絶対見せてはならない。これは絶対に私が最初に使うから!!」と伝えたのです。
それからチャイコフスキーは猛烈に作曲作業を行い、わずか1年でバレエ音楽「くるみ割り人形」全曲を仕上げてしまうのです。