演奏中止が相次いでいる 序曲「1812年」

演奏中止が相次いでいる 序曲「1812年」

演奏中止が相次いでいる 序曲「1812年」

2023/08/31

【ご注意】このブログはVIDEO-GOISのスタッフに向けて、クラシック音楽に親しんでもらい、作品のスキルアップを目指してもらうことを目的として開始されました。そのストックを公開しているもので、表現や内容、考え方について専門的なものではございませんのであらかじめご了承ください。



チャイコフスキーの作曲した名曲で序曲「1812年」という曲を知ってる?この曲はロシア軍の勝利を祝う曲と言われているんだけど、ロシア軍がウクライナに侵攻した事を理由に演奏中止が相次いでいるんだよ。いったいどんな曲なのか簡単に解説するね。


この曲の表題1812年はナポレオン率いるフランス軍がロシアに侵攻した年で、フランス軍はモスクワまで到達するのだけど、最後ロシア軍が反撃し、フランス軍を撤退に追い込む様子を描写していると言われているんだ。


実はこの曲を作曲することになったのは、戦没者慰霊と戦勝記念で建築が始まった「ハリストス大聖堂」が1812年の70年後に完成し、その記念式典用に依頼された曲でチャイコフスキーが作曲をしているんだよ。だけど、チャイコフスキーはあまり乗り気じゃなくて、親しい友人からの依頼で断り切れず渋々作ったんだ。


そんな理由もあり、初演はパッとしなかったんだっけど、その後チャイコフスキー自らが指揮をして演奏する事で大ヒット作となり、ヨーロッパ全域、アメリカでも演奏される名曲となったんだ。


確かに曲全体でフランス軍が侵攻する様や、ロシア軍と戦闘するシーンなどイメージされる部分が多いが、あまり直接的な描写を音楽で表現することってほとんどないんだよね。本当はこの曲から感じなくてはいけないのは、ロシアの農民や市民たちの恐怖や兵士たちの葛藤と言った心の部分なのではないかと私は推測しています。


冒頭の弦楽器の奏でるメロディーなんかは、のどかな農村の朝焼けを思い出すような感じで、そこへ遠くからフランス軍の足音が聞こえてきて、農民たちの恐怖や不安な気持ちが音楽から見え隠れしてきます。そして逃げ惑う人々。悲しみ・・。


最後は勝利を描いているようにも聞こえるが、その部分に人々の心が見えてこない。そう、肉親を失った悲しみが鐘とファンファーレが乾いた感じで表現されているのでは?と私は思ってしみます。


逆に平和のためにこの曲を演奏したらいいのに・・と思ってしまいます。



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